Qスイッチレーザーとピコレーザーの違いって?どちらがピッタリか、効果や痛み、値段などを徹底解明

記事の監修者

看護師|雪さん

美容看護師歴2年。美容クリニックで勤務中。実際に、患者への美容施術やカウンセリングを行っている。患者の肌質によってレーザーのパワーを細かく調節すること、施術間隔のペースの提案、施術の組み合わせ方のアドバイスが得意。

「シミやあざが気になるので取りたい。」

「昔に入れたタトゥーを消したい。」

このような時にどの施術が良いのか調べているとよく出てくる施術が、Qスイッチレーザーピコレーザーです。

この2つの施術は何が違うのか、自分にはどちらが合っているのかわからず、なかなか施術に踏み込めない方もいると思います。

この記事では、Qスイッチレーザーとピコレーザーの違いを仕組み・効果・痛みなど、さまざまな方面から徹底解明します。

どの施術を受ければよいか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてくださいね。

Qスイッチレーザーとピコレーザーの仕組みの違いは?2つの施術の特徴を知っておこう

Qスイッチレーザーピコレーザーとの仕組みの違いは、ひと言で言えば「パルス幅」の違いです。

パルス幅とは「レーザー1発の照射時間」です。Qスイッチレーザーパルス幅はナノ秒(10億分の1秒であるのに対し、ピコレーザーのパルス幅はピコ秒(1兆分の1秒)であり、1000倍の違いがあります。

パルス幅が異なると何が変わると思いますか。Qスイッチレーザーピコレーザーの1パルスをイメージすると次の図のようになります。パルス幅が短いほうがピークパワーは上がり、パルス幅が長いほうが全体の熱量は大きくなります。

Qスイッチレーザーには次の3種類があり、それぞれの波長は次のようになっています。

  • QスイッチYAGレーザー(波長532nm、1064nm)
  • Qスイッチルビーレーザー(波長694nm)
  • Qスイッチアレキサンドライトレーザー(波長755nm)

色素はそれぞれ独自の吸収スペクトルを持っています。下のグラフの茶色と赤色はそれぞれメラニンとヘモグロビンの吸収スペクトルです。

ターゲットとなるメラニンやヘモグロビンの波長とQスイッチレーザーの波長を合わせることでより高い効果が得られます。

一方、ピコレーザーの機械には次の様な3つの照射モードが搭載されており、症状に合わせてモードを変えることができます。

  • ピコスポット(高出力のレーザーを照射)
  • ピコトーニング(低出力のレーザーを顔全体に照射)
  • ピコフラクショナル(微小な点状のレーザーを照射)

このようにQスイッチレーザーピークパワーは低いが多くの熱量をターゲットに送り込みます。レーザーの波長をターゲットの色に合わせることでより高い効果を得ることができます。

片や、ピコレーザー肌悩みに合わせて照射モードを切り替えることができ、高いピークパワーのレーザーを瞬時に送り込むことが可能です。

Qスイッチレーザーとピコレーザーの効果の違いは?痛みやダウンタイム・費用についても徹底比較

Qスイッチレーザーピコレーザーの仕組みの違いは分かっていただけたと思います。続いて、この2つのレーザー施術にどのような違いがあるのかを、さまざまな方面から解説していきます。

【Qスイッチレーザーとピコレーザーの違い①】効果

効果に関する最も大きな違いは、シミの大きさや濃さに関してです。それは、メラニンへのダメージがQスイッチレーザーピコレーザーでは異なるからです。

Qスイッチレーザーは熱エネルギーによってメラニンを破壊し、深い位置にできたシミにも効果を発揮します。一方、ピコレーザーは衝撃波によってメラニンを破壊し、さらに細かく粉砕します。このため、ピコレーザーはメラニン色素が少なくレーザーが反応しにくかった「薄いシミ」も効果的です。

また、ピコレーザーの照射モード(ピコフラクショナル)では微小な点状のレーザーを照射して、コラーゲンやエラスチンなどの生成を促進することができます。

効果に違いをまとめると

Qスイッチレーザー 濃いシミや大きなシミ・あざ・ADM*・青黒のタトゥー除去除去に効果的
ピコレーザー 薄いシミや細かく点在するシミ・タトゥー除去やくすみ改善・美肌に効果的

となります。

【Qスイッチレーザーとピコレーザーの違い②】痛み

ピコレーザーパルス幅Qスイッチレーザーの1000分の1と照射時間が短いため、痛みもQスイッチレーザーより少なくなっています。

とは言え、Qスイッチレーザーの痛みは「輪ゴムではじかれた程度」と例えられます。Qスイッチレーザーピコレーザーも、照射範囲が狭い場合は麻酔なしでも我慢できる痛さです。

もちろん、どちらも痛みが不安、我慢できないという方は麻酔の使用も可能なので安心してください。

【Qスイッチレーザーとピコレーザーの違い③】ダウンタイム

Qスイッチレーザーピコレーザーのダウンタイムを比較すると、一般的にはピコレーザーの方が短いです。

Qスイッチレーザーは高いエネルギーでメラニンを破壊するため、照射後に赤みやかさぶたができやすく、回復に数日から2週間ほどかかる場合があります。照射後は、患部にテープを張って保護しなくてはいけません。このかさぶたをいかに自然に取れるまで我慢するかが、仕上がり具合を左右します。

一方、ピコレーザーはより短いパルス幅で照射するため肌へのダメージが少なく、ダウンタイムも短縮され、数日以内で回復することが多いです。また、ピコレーザー色素沈着リスクも低く、より肌に優しい治療法と言えます。

【Qスイッチレーザーとピコレーザーの違い④】費用

Qスイッチレーザーの費用相場は1cm×1cmのシミに照射して1万~3万円程度です。一般的にシミと呼ばれる老人性色素斑の場合は、シミの濃さにもよりますが1回の照射で終了することが大半です。

一方、ピコレーザーは照射モード「ピコスポット・ピコトーニング・ピコフラクショナル」によって治療パターンが変わります。

ピコスポット1ヶ所数千円、10ヶ所2万~4万、全顔1回7万程度です。

ピコトーニングピコフラクショナルは顔全体に施術するパターンが多いため、1回1万~4万円程度で、お得な複数回セットを取り入れているクリニックが多いですね。

Qスイッチレーザーピコレーザーは施術パターンが異なるため、費用の比較は難しいですが、一度でシミを取り切ってしまいたい場合はQスイッチレーザーが対費用効果は高いと言えます。

【Qスイッチレーザーとピコレーザーの違い⑤】施術間隔

Qスイッチレーザーでは1回でシミ取りが終了することが大半です。シミやほくろ、炎症性紅斑(ニキビ跡の赤み)で複数回照射する場合は1ヶ月以上空けましょう。

また、青あざやADM(後天性真皮メラノサイトーシス)など深いところに沈着したしみの場合は、3~6ヶ月空けてください。

ピコレーザーは複数回施術する必要があり、2~4週間ごとの施術がおすすめです。

ピコレーザーについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。


Qスイッチレーザーとピコレーザーどっちがおすすめ?肌悩みや目的で選ぼう

自分の場合はQスイッチレーザーピコレーザー、どちらが効果があるのか気になりますよね。自分が次のどれに当てはまるか考えて、どちらの施術が向いているか知っておきましょう。

  • 濃いシミを取りたい人
  • 薄いシミを取りたい人
  • 過去に取り切れなかったシミを取りたい人
  • そばかすや細かいシミを取りたい人
  • あざを取りたい人
  • タトゥーを除去したい人
  • ダウンタイムや痛みを気にしないので少ない回数で取りたい人
  • 色素沈着のリスクをできるだけ避けたい人
  • 費用を少しでも抑えたい人

濃いシミを取りたい人

濃いシミを取りたい人はQスイッチレーザーがおすすめです。

Qスイッチレーザーは黒や青に強く反応します。さらに、たいていの場合は1回の照射でダウンタイムを経て、新しいきれいな肌が出現します。万が一、一度で取り切れない場合でも、2回目でほぼ取り切れますね。

薄いシミを取りたい人

薄いシミを取りたい人はピコレーザーが向いています。

薄いシミはメラニンが少ないため、レーザーには反応しにくくなっています。薄いシミを取りたい場合は、メラニンをターゲットにするQスイッチレーザーはなく、細かくメラニンを粉砕できるピコレーザーがおすすめです。

過去に取り切れなかったシミを取りたい人

過去に取り切れなかったシミが残っている人はピコレーザーを受けてください。

過去のシミ取りレーザーに反応しなかった微細な色素でも、ピコレーザーであれば粉砕して効果を発揮します。

そばかすや細かいシミを取りたい人

そばかすや細かいシミがたくさんあって気になる人には、ピコレーザーがおすすめです。

Qスイッチレーザーは一度で効果を発揮しますが、照射後は保護テープが必要となります。そばかすや細かいシミが大量にある場合は、顔中がテープだらけになりかねません。ダウンタイムの短いピコレーザーが向いています。

あざを取りたい人

あざを取りたい人はQスイッチレーザーがおすすめです。

あざにはさまざまな種類がありますが、どの種類のあざにもQスイッチレーザーは効果を発揮します。太田母斑異所性蒙古斑などの青あざは皮膚の深い所の色素沈着であるため、Qスイッチレーザーが有効です。

また、シミの一種であるADM(後天性真皮メラノサイトーシス)も、あざと同じように深いエリアに発症するので、Qスイッチレーザーで治療できます。

タトゥーを除去したい人

タトゥーを除去したい方は、色で判断してください。

黒や青のタトゥーの場合はQスイッチレーザーがおすすめです。Qスイッチレーザーは黒や青に対する反応が高いためです。

ピコレーザーすべての色のタトゥー除去に効果を発揮します。

最初にQスイッチレーザーで黒っぽい部分を一気に除去して、取り切れなかった黄・赤・緑などのタトゥーをピコレーザーで取り切る方法もおすすめです。

ダウンタイムや痛みを気にしないので少ない回数で取りたい人

ダウンタイムや痛みを気にしないのでとにかく少ない回数で取りたいと思う人は、Qスイッチレーザーがピッタリです。

Qスイッチレーザーピコレーザーに比べると若干痛みがありますが、輪ゴムではじかれた程度で、さらに麻酔を使用することもできます。生活上、ダウンタイムとして気になるのは患部にテープを貼ったり、かさぶたが目立ったりすることだと思います。

それでもOKという方は、少ない回数(たいていの場合は1回)で効果のあるQスイッチレーザーがおすすめです。

色素沈着のリスクをできるだけ避けたい人

色素沈着のリスクをできるだけ避けたい人はピコレーザーが向いています。

Qスイッチレーザー照射後は、レーザーの影響で色素沈着をおこすことがあります。これは、炎症後色素沈着と呼ばれるもので、一時的に照射部位の色素細胞が活性化することが原因です。色素沈着がおきても通常は時間と共に自然消滅します。ただし、施術後のアフターケアを怠れば色素沈着が定着する恐れがあるので注意してくださいね。

このようなリスクを避けたい方にはピコレーザーがおすすめです。

費用を少しでも抑えたい人

費用を少しでも抑えたい人にはQスイッチレーザーをおすすめします。

Qスイッチレーザーの費用相場は1cm×1cmのシミに照射して1万~3万円程度です。シミの濃さによりますが、たいていの場合は1度の照射で終了します。ピコレーザーQスイッチレーザーより高額になるだけでなく、効果を得るためには複数回の施術が必要です。

「とにかく費用は安いほうが良い!」という方はQスイッチレーザーが向いています。

しみやそばかす・肝斑を自己判断して施術にのぞむのは危険です。 特に肝斑はレーザーのタイプによっては悪化することもあります。 必ずクリニックでカウンセリングを受けて、今の肌悩みに安全に効果的に対応できる施術を選んでもらいましょう。

Qスイッチレーザー・ピコレーザーでシミを取りたい!失敗しないクリニックの選び方4選をご紹介

Qスイッチレーザーピコレーザーでシミ取りをする際には、クリニック選びで効果はもちろん、痛みや費用によって満足度も変わってきます。そこで、クリニック選びのポイントを4つ紹介します。シミ取りで失敗したくない方は、ぜひ参考にしてください。

【クリニックの選び方①】カウンセリングを重視しているクリニックを選ぼう

シミ取りで失敗したくない方は、カウンセリングを重視しているクリニックを選びましょう。

シミ取りはシミのタイプを正しく判断して、そのシミに適した施術を選ぶことが大切です。判断を誤れば、効果がないだけでなく色素沈着や副作用を起こす可能性があります。しっかりカウンセリングをして、適切な判断をしてくれるクリニックで施術を受けることをおすすめします。

【クリニックの選び方②】麻酔が無料のクリニックを選ぼう

シミ取りを受ける際は、麻酔が無料のクリニックを選びましょう。

Qスイッチレーザーピコレーザーも、痛みに弱い方や痛みが不安な方に対しては、麻酔の使用が可能なクリニックがほとんどです。痛みを無理して受ける必要はないので、麻酔ができるか聞きましょう。

複数回の施術を受ける場合、その都度麻酔代が加算されれば最終的にはかなり出費がかさむことになります。できれば、麻酔代が無料のクリニックを選びたいですね。

無料でない場合は麻酔代をはっきり聞いて、その分もきちんと予算に入れておくと支払い時に困ることはありません。

【クリニックの選び方③】アフターケアがしっかりしているクリニックを選ぼう

クリニックを選ぶ際には、アフターケアがしっかりしているかどうか確認しましょう。

シミ取りレーザーでは、赤みや痛みだけでなく、まれに色素沈着や水ぶくれ・色素脱失・肝斑の悪化がみられることがあります。そのような時でも、アフターケアがしっかりしているクリニックであれば、安心して相談できます。

カウンセリングの際にアフターケアについても確認することを忘れないでくださいね。

【クリニックの選び方④】通いやすいクリニックを選ぼう

最後のポイントは、通いやすいクリニックを選ぶことです。

使用レーザーや症状によっては、複数回通う必要があります。また、副作用が続く場合は予定より長く通うこともあります。家や職場から近いか・駅からのアクセス・駐車場の有無など、自分の生活の中で通いやすい範囲かよく考えましょう。

立地だけでなく開院時間や休診日も確認して、無理なく通えるクリニックで施術を受けましょう。

クリニックによって導入している施術が異なります。 シミに関しては・・・ まず濃いシミをQスイッチレーザーで除去してから、間隔を空けてピコレーザーで残った薄いシミを取る・・・ 「ハイブリッド治療」をしているクリニックもありますよ。

Qスイッチレーザーもピコレーザーも高い効果あり!肌悩みや目的で自分に合った施術を選ぼう

Qスイッチレーザーピコレーザーも、シミ・あざ・タトゥーの除去に高い効果があります。どちらも、レーザーの種類や照射方法がさまざまあり、シミのタイプによって適した施術が異なります。

施術方法の判断を誤ると色素沈着や肝斑の悪化を起こす可能性があります。シミの種類を自己判断するのではなく、信頼できるクリニックを選びしっかりカウンセリングを受けて、安全で効果のある施術を受けましょう。

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